税理士・会計士の方へ

会員インタビュー

税理士法人 畠経営グループ宮本 将太 1982年生まれ。
石川県七尾市出身。2003年新卒で畠経営グループ入社。
入社3年目から自社開催「将軍の日」の講師を務め、これまでの経営計画策定支援企業数は延べ250社超。
「次世代社長の経営参謀」をセルフイメージとし、MAS監査の他、経営計画策定をベースにした経営職育成コンサルや事業承継(理念承継)コンサル、金融機関等での研修講師等、お客様のお困り事に合わせた各種コンサルティングを実施中。

宮本様がMAS監査業務に携わるようになった経緯をお聞かせいただけますか?

入社してすぐは、巡回監査の仕事をしていました。MAS監査に携わるようになったのは入社3年目、憧れの先輩の影響です。その先輩は、営業をどんどん取ってくるし、お客様の信用も厚いし、見た目もシュッとしていてかっこいい先輩だったんです。私はというと、2年目から営業の数字を持つようになったのですが、なかなかうまくいかず、営業が取れない時期が続いていました。
ある日、仕事を終えて帰ろうとしたときに、先輩が将軍の日の後片付けをしていたんです。その頃、将軍の日についてはまったく知らなかったのですが、「おもしろいですか?」と声をかけたところ「興味があるならやってみるか?」と言っていただいて、よくわからないまま「やってみます」と返事をしたのが始まりです。当時は将軍の日の集客も苦戦していましたし、運営も丸一日かかるからいろいろと大変で、先輩からしたら「ちょうどいい雑用係がやってきた」という気持ちだったかもしれません(笑)

将軍の日の運営を手伝うようになってから、MAS監査担当になるまではどのくらいかかりましたか?

MAS監査を担当するようになるまでは3年くらいかかりましたね。最初のお客様は、完全なるお願い営業で首を縦に振ってもらいました。税務監査の件数をそれなりに持っていたので、「グリップしているお客様がいるだろう。お願いでもいいから行ってこい」とリーダーに言われ、将軍の日に毎年来てくださっていた社長に「将軍の日のPDCA、やりましょう。僕にやらせてください!」「料金は社長が決めてください」と伝えました。当時は基本の価格を5万円で設定していて、「5万円で提示をして高いと言われたらお客さんに値段を決めてもらえ」と指示がありましたので、3万円で提供することになりました。
金額をお客様に委ねるという方法は、リーダーからの教えだったのですが、苦肉の策でただ値引いているというわけではありません。これまでは税務監査の延長線上に無料で引き受けてしまうという傾向があったので、「1,000円でもいいから料金を頂け」と言われていました。「まずはやってみないと始まらない。ただし、1,000円でもいいから料金を頂け。ボランティアになってしまうとクレームが出てこない。クレームが出てこなければ、サービスとして昇華しないから」と。まずは1,000円を頂くことで、その1,000円以上の価値を提供することを考えていかなきゃいけなくなりますし、価値がなければお客様からクレームを受けます。そうすると、さらにどうしたらいいかを考えるようになります。さすがに1,000円で実施することはありませんでしたが、この考え方は今でも重要だと感じています。

これまでMAS監査を提供してきたなかで、強く印象に残っているお客様についてお聞かせください。

温泉旅館のMAS監査を担当しているのですが、ご承知のとおり温泉旅館はコロナ禍で大打撃を受けています。昨年の緊急事態宣言が出た頃、まったく売上が立たないので、当然コストを削る話になりました。その温泉旅館はMAS監査以外にも、ウェブのコンサルなど他のコンサル会社とも取引があり、そこには減額のお願いをしました。そのときに社長に言われたのは「おまえはうちと一対だからこのままでいい。税務顧問もMAS監査も料金値下げを一切せずにこのままいこう」という言葉でした。MAS監査のサービス力を理解し、苦しい状況でこそ削ってはいけない必要なものと認識していただけていることが、とても嬉しかったです。
社長と金融機関を回って資金調達したり、雇用調整助成金の申請サポートをグループ会社につないだり、まずはお金を回すことに手を入れていきました。もうひとつ社長から依頼されたことがあります。それは、「従業員に大丈夫だっていうことを伝えてやってほしい」という依頼です。お客様が減って、旅館は休業、自分も休みをとっているという状況で、それは不安に思いますよね。外部の専門家として、状況や対策について説明を行い、今では従業員さんとのミーティングもやらせてもらっています。
「人が動かないタイミングであがくよりも、今できることを皆で考えましょう。これまでやったらいいと思っていたけれど、忙しくてできなかったことはありませんか? やりたかったこと、やったらいいと思うことに着手しましょう!」とお話しし、従業員さんと一緒にアクションプランをつくりました。ヘビーユーザーの方には、季節のはがきを出したり、SNSでの発信は料理や風景などありきたりな写真を上げるのではなく、社員が休業期間に草刈りしている様子を「充電中です」という言葉を添えて発信してみたりと、新たな取り組みも始めました。常連のお客様に「あ、あの人だ」と気づいて、楽しんでもらいたいという狙いがあります。いますぐの売上につながる話ではないですが、お客様に親しみを持ってもらう、自分たちのことを忘れないでいてもらう、という目的のもと、いろいろ話しながら前向きに取り組むことができています。
当社は会計以外でも、人事労務、事業承継、M&A等お客様のお困りごとにワンストップで対応できる体制をとっていますので、今後もグループ全体でご支援したいと思います。

宮本様の中長期的な目標を教えてください。

中長期的な目線で考えると、「MAS監査をもっと広めていく」というのが目標です。お客様に対して何ができるかを突き詰めると、MAS監査はまだまだ展開の余地がいくらでもあると思っています。しっかりとこの価値を伝えて、良くなる会社を増やしたいです。
私は数字をつくる仕事と数字を使う仕事は似て非なるものだと思っています。税法、会計に照らし合わせてお客様にとって最適な数字を創るのが税務監査や巡回監査の仕事で、決算書や財務諸表等の経営数字を使ってお客様の行動変容を促し、共にビジョンにむかっていくのがMAS監査だと思っています。数字を使うことによって、使い方次第で良くなる会社がたくさんあるんだということを、もっと自分たちで表現していきたいですし、証明していきたいです。

MAS監査は楽しいですか?

はい、楽しいです。正直しんどいですけどね(笑) 喜びと挫折、数でいうと大半が挫折なんじゃないかと思います。喜びは2割くらい。でも、その2割のほうが自分のなかで圧倒的に勝っているんですよね。しんどさは、「慣れるまで」とか「最初のうちは」という話ではなく、ずっと続きます。今でも毎回感じます。経営者は、私とは比べ物にならないほどのものを背負っていらっしゃいます。その責任の重さを感じなきゃいけないですし、「自分に何ができるんだろう。何をしたらいいんだろう」と常々考えています。そこから解放されることはないだろうなと思っているんです。解放されるとMAS監査じゃなくなっちゃうんで。ただ、その分、楽しいです。答えのない世界に対して、自分たちが何を導き出すかというところが、この仕事の醍醐味だと思っています。

どのような人材がMAS監査に向いていると思いますか? また、どのようにMAS監査担当者を育成されていますか?

しゃべるのが好きな人です。数字に苦手意識を持っている社長が多いので、「わからない」「嫌いだな」と思っている人に対してどれだけ魅力や必要性を伝えることができるか。しかも、自分よりも年上の方に対してそういった話をして、しっかり伝えないといけない仕事です。コミュニケーションが好きな人というのは大前提になると思っています。
育成に関しては、「まず将軍の日の講師をできるようになりなさい」と伝えています。将軍の日の講師とは「経営計画を理解し、その可能性を信じ、それを表現できる人」と定義しているからです。講師をやってもらうステップとして、ノウハウの取得はもちろんですが、「まず1社、自分で集客すること」を重要視しています。経営計画を自分自身が理解し、本当にいいと思わないと、お客様に魅力は伝わりません。集客ができていないということは、まだその段階に至っていないということですから、それでは講師は務まりません。集客の次は、実際にお客様と一緒に将軍の日に参加して、お客様と同じ目線で将軍の日を見てもらいます。講師がどういうふうに見られているか、この話のときはお客様がどういう反応をするか等、体験しないとわからないことがあります。まずは1社集客し、体験し、その経験をもって必要なスキルを身に着けていくという段階を踏んでいます。私がこれまで見てきた限りでは、MAS監査がとれるようなった、できるようになった人は、将軍の日の講師がしっかりできる人です。
あとは場数だと思います。とにかく提案する、やってみる。失敗してもまたやってみる。実践しないと力はつかないですから。当社のMAS監査担当者育成は、ロープレして、実践して、の繰り返しです。結局のところ、これがMAS監査担当者育成の一番の近道だと思っています。

MAS監査担当者の方へメッセージをお願いします。

MAP経営の髙山社長に言われたことで、印象に残っていることがあります。研修会の最後に受講生が今後の意気込みを話す機会があり、私は「MAS監査10件取ります!」と言ったんです。すると髙山社長は「10件はやらなくていい、まず1件やりなさい。1件をとことんやったらその次が出てくるから。まず1件をしっかりやったらいいと思うよ」とおっしゃいました。本当にそのとおりでした。目の前のお客様を大切にして自分がやるべきこと、できることを考え、愚直に実践していく。その結果が、MAS契約数の増加や単価のアップにつながっていくと実感しています。
MAS監査をするうえで最も大切なことを突き詰めていくと、「テクニック」ではなく、お客様によくなっていただきたいという「想い」だと私は信じています。ですから、多くの人にMAS監査に取り組んでいただきたいです。テクニック的なことは一緒にロープレしましょう! お気軽に声をおかけください(笑) 共に学び、共にお客様を元気にしましょう!!
あんしん経営をサポートする会
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