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会員インタビュー

岡村税理士事務所川端 優美 兵庫県神戸市出身。2014年 岡村税理士事務所に入社。
前職は接客業に従事していたため、入社当初は会計知識ゼロ、仕訳ひとつ切れない状態からのスタートだった。
入社3年目に所長のMAS監査先を引継ぎ、MAS監査に取り組み始める。 現在は税務が担当業務の9割を占め、兼任体制でMAS監査を3社担当している。
昨年末に初めて、引継ぎではなく自身でMAS契約を獲得。 持ち前の明るさと接客業で培ったコミュニケーション力を武器に、社長の本音や課題の引き出しを得意としている。

川端様がMAS監査業務に携わるようになった経緯をお聞かせいただけますか?

私は入社して3年目くらいにMAS監査に携わるようになったのですが、もともとはMAS監査志望でも税務志望でもなく、事務職として就職したい一心で岡村税理士事務所に入社しました。当時は「あれがしたい、これがしたい」という熱い気持ちはなかったので、実際の業務が思っていた内容とは違うことも、所長の岡村に研修や勉強会に連れ出されることも本当に苦痛でした。ずっと文句ばかり言っていましたよ(笑)
嫌々ながらも、いざお客様と向き合うと、何かしてあげたいという気持ちはありました。接客畑出身なので、ホスピタリティやサービス精神は旺盛で、できる限りのことをしてあげたいんです。その反面、「税理士でもない、何の武器も持たない私に何ができるのだろう? 他の人にやってもらったほうがいいんじゃないか?」と、常に葛藤していました。正直なところ、いまだに「私にはこれができます!」という確固たるものは持ち合わせていないですが、ここ1年くらいで少し心境の変化がありました。
きっかけとなったのは、昨年行った自己MASです。一昨年の年末に行動計画をつくってみたら、2020年は自分の中で「ああ、これやりたいなあ」と思っていたことが今まで以上にできた年になりました。自己MASをやっていなかったら、コロナ禍でここまで動けなかったと思います。自己MASをやってみて、一番つらかったのは自信を失ったときでした。意志が揺らいでしまって、「もうできないかもしれない」と思いました。でも、一人だけ自己MASをしていることを話していた友達がいて、その子に相談したとき「優美さんなら絶対できますよ、できない理由がない」と言ってくれたんです。ただただ純粋な目で「できますよ」と言ってくれたその言葉で、「あ、できるわ」と思って、実際にできたんですよね。ひいひい言いながら、ギリギリですが、できました。その子が何か手伝ってくれるわけでも、できる方法を教えてくれるわけでもないけれど、信じてくれるというだけで私の原動力になりました。そのときに「MAS監査ってこういうことなんじゃないかな」と腑に落ちましたね。

MAS監査を提供する際に意識していることはありますか?

私からすると中小企業の社長は皆「すごい人」、「社長になれた人」なんですよね。だって、「やりたいことがあって一歩踏み出した人」ですよ。本当にすごいと思います。そんな人たちが困っているとしたら、その原因は隣に誰かがいないことなんじゃないかと思います。だから、私は社長の夢が叶うことを全力で信じます。たとえどんなに無謀な夢だったとしても、社長が本気なら「できますよ」と言います。その代わり、社長には私を信じさせた責任がありますから、社長がやると言ったことをやらないときはその理由を厳しく詰めますよ。私が担当している飲食店では、MAS会議の日が近づくと、行動計画とその進捗を管理するリストを指して「川端が来るぞ、あの紙を燃やせ」という言葉が飛び交うくらい恐れられています(笑)
ただ、詰めると言っても、社長が「やらない」と決めるなら、「なんでやらないんですか?」とは聞かないです。「社長の夢が変わったんだな、行きたい方向が変わったんだ」と思って、「次はどうしたいですか?」という話をします。私なんかが止めなくても、社長はやらなきゃいけないことが何かはわかっているから、本当にやらなきゃいけないことであれば絶対に「やらない」とは言わないです。だから「やります」と言って、終わらない夏休みの宿題みたいになっている社長もいらっしゃいますよ。夏休みの宿題って、計画的に終わらせる人と最終日になって焦って一夜漬けする人がいると思いますが、前者のタイプなら私のMAS監査を楽しめるかもしれないです。後者のタイプの社長は大変ですよ。川端と終わらない宿題がいつまでもしつこく付きまとうんですから。
近くで見ていて思うのは、社長の頭の中はおもちゃ箱みたいになっているんだろうなということです。楽しいことがいっぱい詰まっているんですよ。やりたいことも、その方法も社長の頭の中には存在していて、何をしたらいいかの答えはすでに持っているんだと思います。でも、おもちゃ箱の中がぐちゃぐちゃになっている社長は、どれから出せばいいのかわからなくなってしまうので、整理してあげる必要があります。その役割を担うのが、将軍の日だと思っています。そう考えると、せっかく作った経営計画書をその辺にポイっと置きっぱなしにする社長の気持ちも理解できるんですよね。自分の頭の中のことが書かれた紙ですから、「ああ、もちろん知っているよ」となるんだろうと思います。だから、私は提案をしないように気をつけています。ついつい「こうしたほうがいい」と言いたくなってしまうのですが、そこはぐっとこらえています。夢がたくさん詰まったおもちゃ箱から何を取り出して、何を使って、何を作るのか。決められるのは、決めていいのは社長だけです。

MAS監査をしていて、やりがいを感じられる瞬間はありますか?

やりがい……ないです。ないというか、やりがいという言葉にぴたりと当てはまるものがないんですよね。
私はいつも迷うことばかりなので、岡村に「先生はMASに自信あるんですか?」、「MASの成功とか達成感とか、感じることはありますか?」と聞いてみたんです。そうしたら、「自信はない」、「失敗しかない」という答えが返ってきました。「失敗しかないって言い方もおかしいけど、たとえば、10年前の自分と今の自分を比べたら、今の自分はもっとできる。あのときのベストは出していたかもしれないけど、それが今考えてみても最も正しい正解だったかと言えばそうではないから。だから、失敗と言ってしまえば失敗。振り返ってみて、あのときああしていたらと思うこともある。結果論やけど」と、話してくれました。それを聞いたときに、私がMASのやりがいや達成感というものにピンときていない理由がはっきりしました。私はあくまでも社長の応援者だから、MAS監査によって成功につながったとしても、それはお客様の行動の結果、お客様の成功であって、私の成功ではないと思っているところがあって、岡村にも同じような部分があるのかもしれないと思いました。 だから、やりがいについてお話しするのは私には難しいですが、嬉しかったことならありますよ。2年間ずっとアプローチしていた顧問先のMAS監査契約を取れたときは嬉しかったです。初めて将軍の日に来てもらったのは、私がまだMAS監査担当になったばかりで、一人では将軍の日のサポートができないような状態の頃でした。そこから何度もお声がけして将軍の日は3回くらい来てもらっていましたが、なかなかMASには踏み出さなかったお客様です。事業規模を拡大したことで、社員への責任を強く感じるようになり、「例のアレ、やってみようと思う」と連絡をくださいました。社長が人生の節目に立って不安を覚えたときに、私の顔や言葉を思い出して声をかけてもらえるということは、純粋に嬉しいものです。

事務所のMAS監査体制について教えてください。

現在のMAS監査契約件数は所長を含む3人で11件、兼任体制で行っています。今取り組んでいることは、全顧問先へのMAS監査の周知です。先日ご連絡いただいた社長のように、将軍の日やMAS監査の名前を覚えてもらわなくても、「岡村税理士事務所のやっている例のアレ」でもなんでも、知っていていただければいいです。もちろん、顧問先のなかには、年1回の関わりのお客様や、明らかに今のお付き合い以上の提案を望んでいないお客様もいらっしゃいます。それはそれとして、興味があるかないかではなく、知っているか知らないか。「なにそれ?」というお客様をなくすことが、まずひとつ、今年のMAS事業部としての目標になっています。 岡村が以前お客様に「税務は社内のインフラなんですよ、インフラは強化していかなければいけない」という話をしていて、納得すると同時に「MAS監査もインフラにならないといけないのでは?」と思いました。MAS監査を顧問先の社内インフラにしたいという思惑に反して、MAS監査を知らない顧問先が多すぎるというのが、弊社の課題です。今年の新規契約獲得目標は年間で5件なのですが、ただ契約を取りに行った5件と全員に周知した結果の5件では大きな差があります。また、もしも今年5件という目標が達成できなかったとしても、「全員周知」という行動計画を確実にやりきることで、2022年、2023年につながる大切な1年になると思っています。まずは誰もが知っているという状態をつくることですね。「税理士です」と言えば、だいたい何をやっている人かわかりますよね。「MAS監査をやっています」が、それと同じくらいイメージできる状態が理想です。

MAS監査担当者の方へメッセージをお願いします。

私から誰かにメッセージなんておこがましいですが、「この春からMAS監査を始めます」という方に何か言うとしたら、「なんだかんだ楽しいですよ!」と伝えます。人の夢をこんなに聞くことができる仕事、他にありますか。そして、聞くだけじゃなく、夢を叶えていく姿をすぐ近くで見ることができるんですよ。そんなの楽しいに決まっていますよね。めちゃくちゃ楽しいです。ただ聞くだけならこんなにも楽しいことはないですが、そこには対価が発生しているから、「これでいいんだろうか、自分なんかにできるんだろうか」と不安にもなるし、苦しいです。この不安はなくならないと思います。一生付きまとうだろうなあ、これは。だから、不安に思っている方は、岡村税理士事務所に連絡ください。「できないねえ、不安だね」と一緒にお話ししましょう。そして、私のMAS監査を受けてください(笑) 「あなたならできるでしょ!」って、私が必ず信じます。
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