税理士・会計士の方へ

会員インタビュー

株式会社FLAGSコンサルティング齊木 雄也 1992年生まれ、愛知県出身。
2016年末松会計事務所及び株式会社FLAGSコンサルティング(現末松会計グループ)に新卒入社。
税務顧問、融資サポート、補助金申請代行、MAS監査業務に取り組む。 入社1年目からMAS監査業務に取り組み、現在は4社担当している。
お客様に対して親身になることはもちろん、お客様の課題に対して何かしらの提案や改善案を提示して課題解決に繋がるサポートをすることで、自身の価値を感じていただけるように日々業務を行っている。趣味はYouTube鑑賞。

齊木様がMAS監査業務に携わるようになった経緯をお聞かせいただけますか?

私は大原簿記専門学校で学び、いざ就職するとなったときに大原簿記専門学校の先生になるか会計業界に進むかで悩み、会計業界へ進むことを決めました。実は、現在の勤め先(株式会社FLAGSコンサルティング)しか面接は受けていないんです。当社に就職を決めた理由は二つです。一つ目は、それほど規模が大きくない事務所に入りたいと思っていました。勝手なイメージですが、大手の事務所に入ると一つの部署や税目しか経験できず、自分が本当にやりたいことに出合えないかもしれない、それでは嫌だなと考えました。二つ目は、税理士の平均年齢が高いことは知っていたので、できるだけ若い人が所属しているところにしようと思っていました。当時、当社のスタッフ情報の中に現代表の末松和真の姿を見つけて、年齢も近そうだし、雰囲気も合いそうだなと感じました。それで、直感的に「ここにしよう!」と決めました。
多くの事務所の新入社員が通る道だと思いますが、入社してすぐの頃は、入力業務や申告書をひたすら作るといった業務をしていました。それがもう、とにかくつまらなくて。代表に「つまらないです、仕事」と、はっきり言いました(笑)
それをきっかけに、外部の研修を受講させてもらうことが増え、入社して半年経たないくらいでしたが、MAS監査もやらせてもらえることになりました。当時、代表には税務会計だけでは衰退していくから何か新しいことに取り組もうという考えがあったようで、ちょうどMAS監査を導入し始めたところでした。私は変化の乏しい業務を続けることが苦手だったので、MAS監査のような答えが一つではない業務はとても楽しく感じられました。「つまらない」の一言をきっかけに、楽しみを見出せる業務につかせてくれた代表には、とても感謝しています。

初めてMAS監査を担当した企業様について教えてください。

入社して1年目ということもあり、税務顧問先自体それほど担当を多く持っていたわけではないですし、信頼関係がまだできあがっていないなかでMAS監査契約のアプローチをするのは本当に苦労しました。フロントセミナーへの集客→将軍の日→MAS監査獲得という流れで、初めて担当したのはベトナム料理屋さんでした。もともと債務超過で税金も滞納していて、MAS監査を始めた1ヵ月後に銀行に差し押さえられるという状況でした。しかし、MAS監査を始めたら、みるみるうちに変わっていき、次の決算では黒字に転じました。今まで何もやっていなかったものですから、やればすぐ成果が出る項目が多かったことと、新しくチャレンジしたことが概ね成功したことが結果につながったのだと思います。事務所移転やフランチャイズ展開もできるようになりました。何より変わったことは、社長が常に何年か先を見て行動できるようになったことです。この企業様は4年目に入った今もMAS監査契約を継続してくれています。

現在、コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、多くの飲食店が大変な思いをしていると思います。差し支えなければ、この企業様の現状を教えていただけますか?

例に漏れず、店舗営業は影響を受けましたが、MAS監査をやり始めた直後から卸売りやネット販売を始めて売上の分散を行っていたため、店舗営業の売上だけに依存しない体制はできていました。もちろん赤字になってしまった時期はありましたが、持ちこたえ、立て直すことができました。経営課題に対しては何か策を講じるという癖が社長の中でついているので、“コロナ”という大きな経営課題に対しても、それほど弱気にならずにトライする気持ちを持っていられました。それもMAS監査がもたらした効果だと思います。

経営者の方と対峙するときに工夫していることはありますか?

まず、無理に知ったかぶりをしないことです。業界のことも専門用語もすべて一から教えてもらいます。MAS監査はお客様の課題や悩みを引き出してあげる商品だと認識しているので、知識や経験はなくてもできると私は思っています。心がけていることは、変に気負わないことですね。「私が改善してあげる」という気持ちはまったくないです。改善できそうなことを一緒に決めて、やってもらって、それが結果として数字に表れたのかは、こちらで出してあげられます。その結果を見ながら、次はどうアプローチするかを一緒に決めて……その繰り返しですよね。MAS監査は正解が決まったものではないので、臆することはないと思っています。予実会議で宿題を決めるときも、社長がワクワクするものをピックアップして、そのなかで効果性が高そうなものから優先的にやっていただくようにしています。社長自身がワクワクする宿題なら、あれこれ言われなくても自発的に行動できてしまうものです。だから、私が実施しているMAS監査には指導的な要素はまったくないです。
それに、私自身がMAS監査を本当に楽しいと思っていて、一喜一憂を共有できることに喜びを感じています。成果が出なかったときは「あの課題ではダメだったかな」「全然改善されないな」と社長と一緒に落ち込みますし、良い結果が出たときは社長から連絡をもらって一緒に喜びます。法人税の申告書を完璧に作成しても「やったね、齊木くん!」とはなかなかならないと思うので、MAS監査の『一喜一憂の共有』をこれからも大切にしていきたいですね。

事務所のMAS監査体制について教えてください。

黒字企業を1,000社つくるという理念のもと、3~5年後にはMAS監査等のお客様をサポートできる商品をメインに据えていきたいと考えています。ちょうどこの取材の前に中期経営計画発表会がありまして、現在のMAS監査契約件数は2人体制で10件なのですが、「3年後に4人体制でMAS監査契約60件」という目標が決まりました。
この目標を達成するにあたって、いよいよ必要になってくるなと感じるのは『事務所全体でMAS監査をやっていく』という方針の共有です。私はMAS監査業務に集中し、融資や税務は完全に手放す予定です。「税務が忙しくてどうしてもできない」という声が多いと聞きますが、税務業務は納期がシビアなので、そちらを優先してしまうことはやむを得ないことだと思います。税務は税務で重要ですから、ひとりの担当がどちらも優先項目という究極の二択の中で無理をしながら対応するよりも、事務所全体で協力体制を敷いて取り組むことが効率を高めるうえでは有効だと思います。数を増やしていこうとするなら、なおさら全社的に取り組まないと厳しいのではないでしょうか。
そうは言っても、協力してもらうためにはMAS監査をいい商品なのだと理解してもらうことが必要です。MAS監査に携わっていないスタッフには、口で説明してもなかなか伝わらないものだと思います。だからこそ、成果を見せることがとても重要だと感じています。「なんかあのMAS監査ってやつをやっているお客様のところは黒字だな」とか、「MAS監査をやっているところはコロナの影響を受けても立ち直っているな」とか、そういったことに気づいてもらえるようになると、MAS監査の価値が認識されて協力を得やすくなります。当社も3年程かけて、ようやく少しずつわかってもらえるようになってきました。
もうひとつの課題は、既存の税務顧問先からMAS監査契約につなげることが難しいということです。比較的古いお客様が多いためか、「5年先を見据えて経営計画を立てましょう」と言っても響かないケースは多いです。現在は創業や新規のお客様から契約をもらえることが多くなっていますが、既存顧客に対しても働きかけは必要だと考え、毎月見込み顧客をピックアップしてお声がけしています。
1年目に私が現状計画を持っていって「3年後に資金がショートしますよ」とお話ししたお客様がいるのですが、当時はまったく響かず「いや、いいわ」と言われてしまいました。昨年、その方からお電話がかかってきて、「言われた通りになってしまった。資金がショートしちゃって……全部お願いしたい」と言われました。この件はMAS監査ではなくコンサル介入になってしまって、その場では契約につながりませんでしたが、現状計画をつくってお話しすることに意味があるなと感じた経験でした。既存顧客向けアプローチの具体的な行動計画はこれから検討していきますが、この経験を活かせるのではないかと考えています。

齊木様の中長期的な目標をお聞かせください。

先程、中期経営計画のお話をしましたが、当社の目標件数60件のうちの半数、30件を私一人で担当することを目標にしています。単純に数が増えればいいというのではなく、あくまでも今担当しているお客様は永続的に会社運営できるようにサポートし、ずっと継続していただけることが理想です。MAS監査を基本に、そこから派生する経営課題に対しては私個人で解決するというよりは事務所全体で解決できるように提案し、サポートしてあげられる体制をつくっていきたいと思っています。
もちろんゆくゆくは、私個人で解決できる範囲を増やして、自分にしかできない仕事をやりたいと思っています。MAS監査は標準化し、誰もができるサービスにしていく予定なので、ひとつ上のサービス提供や支援を個別でできるようにしていきたいと考えています。
先程お話しした初めて担当した飲食店の社長から「齊木くんがおらんかったら今の会社はなかったと思う」、「齊木くんがいてくれんかったら気付けなかったわ」といった言葉をかけられたときに、これは未来会計でなければ言われない言葉だなと思いました。中小企業は経営幹部や経営者の右腕になるような人がいる会社は少ないと思うので、私がMAS監査を通して、その代わりに近い存在になりたいです。そのために、経営者自身が気づきにくい角度から、私ならではの視点で経営課題を抽出できるように、もっと経験を積んでいきたいと思っています。

MAS監査担当者の方へメッセージをお願いします。

私自身うまくいかないこともたくさんあるなか、今も模索しているところなので大層なことは言えないですが、やはりお客様を良くしたいという気持ちが一番大事だと思います。事務所の売上アップを一番の目的として取り組んでしまうとうまくいかない気がしています。MAS監査先の会社に入社したと思って、自分の会社を良くしたいと思う気持ちと同じ熱量で取り組めればベストですね。
また、自社MASも必須だと思います。当社では第三者に入ってもらって行動計画の進捗を見てもらっています。誰かに見てもらったほうが襟を正すということもありますし、自社MASの精度が上がるのでお勧めです。お客様に「PDCA回しましょう!」と言っていますが、自社MASを通して、会計事務所においてもPDCAを回すことはなかなか難しいことだなと感じています。税務の納期に追われたり、お客様の対応で想定以上の時間を取られたり。お客様に伝えるには、まず自分たちが経験しないと始まりません。絶対に自社MASはやったほうがいいと思います。
そして、MAS監査に取り組む際の方法論としては、外に出て他事務所と交流し情報共有しながら、見本となる事務所をひとつ見つけて、最初はそっくりそのまま真似てみることをお勧めします。コツは、自社流に変えたりせずに、とにかくそのまま真似ることです。もちろん、慣れてきてからは少しずつ自社流を取り入れていけばいいと思います。私はその方法で、専門的な知識も経験もない状態から、これまでやってこられました。私でもできたのだから、それほど難しいものだとは思わずにぜひやってみてほしいと思います。
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