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会員インタビュー

株式会社クイック・ワーカー鈴木 大樹 1988年生まれ。京都大学経営管理大学院EMBAプログラム修了(1期生)
平成23年にMAS監査専門会社である株式会社クイック・ワーカー(税理士法人弓家田・富山事務所グループ)に新卒で入社。現在は取締役を務めながら、MAS監査15件を担当。東京・多摩地区を中心に中小企業の経営支援に取り組み数多くの経営改善実績を持つ。将軍の日は300回以上の自社開催実績があり、平成29年にMAS事業売上1億円を達成。

入社当時MAS監査業務に携わってみてどのように感じられましたか?

当時の私は会社というのは、経営計画を立てたり、資金繰りの計画を立てたり、自分の会社のビジョンや目標を従業員に説明し、共有して進んでいっているのが当たり前だと思っていました。そのためなぜ経営計画を立てたいという相談があるのか、なぜ富山(株式会社クイック・ワーカー代表取締役:富山 さつき氏)が経営計画を立てる必要性を話しているのかよくわかりませんでした。しかし実際は、中小企業経営者は皆が皆経営の勉強をしているわけではないということ。ノウハウや知識がないだけでなく、そもそも経営に充てる時間がとれない、という経営者が多いことに少しずつ気づいていきました。

MAS監査業務を始めてぶつかった壁や課題について教えてください。

私は入社して新規のお客様を獲得するまでに時間がかかりました。半年くらいして初めて契約を取ることができたのですが、それも富山の助けがなければできませんでした。自分の力で契約を取れたと感じたのは、入社して1年ほど経った頃でした。それまではクロージングの部分でうまくいかなかったり、将軍の日で満足して帰られてしまったりすることがずっと続いていました。最初のうちは、“取れないお客様が来た”とか、“お客様はお金がないというなら仕方がない”と自分に言い訳をしていました。そのとき富山に「あなたの問題だ」と言われました。富山の言う通りでした。今思えば、この仕事の価値を自信をもって伝えられなかったことが自分に問題があったと思います。契約が取れない間も引継ぎなどでMAS監査業務を担当していました。MAS監査を通して、お客様自身が気づいて行動し、それが結果としてあらわれて会社の業績が良くなり、従業員の雰囲気もだんだん明るくなっていくのを、MAS監査の成果として目の当たりにしたときに、この仕事は世の中で大切な仕事なんだと腹落ちしたのがちょうど入社して1年くらいが経った頃でした。そこでようやく、自分の仕事に対して自信と誇りがもてるようになりました。それまでは全然取れなかった契約が、自分の中で腹落ちしたら次々に取れるようになり、お客様も増えていきました。

鈴木様が思うMAS監査業務の魅力とは?

お客様が何かひとつの気づきを得ることで状況が改善され、変わっていく姿を見ることができるのがMAS監査業務ならではの魅力だと思います。たとえば、MAS監査で70社分の会社(お客様)を担当したら、それだけ多くの人生や経営者の考え、従業員の気持ちに触れ、変わっていく姿を見ることができます。そもそも20代前半の若者でも経営者の方と同じテーブルで同じ目線で話せるということ自体はなかなかないことですし、本当におもしろく、素晴らしい仕事だと思います。
MAS監査の仕事を通して、企業の業績改善を行っていくことで、その企業で働く人々の「働く場所が提供される」、「お給料が増えていく」、「楽しく仕事ができる」ように変わる姿を見ることができます。そのような場面に接していると、良い世の中を作ることに少しだけ貢献できているように感じられます。

これからMAS監査にチャレンジする職員の方にアドバイスするとしたら?

熱意をもってお客様に寄り添うことが一番重要だと思います。お客様よりもその会社のことを考えている、知りたい、良くしたいという思いで一緒に会議に臨むという姿勢が何よりも大事だと思います。私は現在33歳ですが、20代や30代の若者が年の離れた経営者の方と一緒に話をする場合、相手は自分たちに経営をよくするための知識がないことは当然分かっています。それよりもお客様について勉強することが大切です。実際にお客様のサービスを受けてみたり、物を作る工程を見せてもらったり、従業員の名前まで覚えます。全部教えてもらって知ることです。お客様は知識を教えてほしいわけではありません。たとえ若者でも一緒に会社の経営を考えてくれるサポーターがいてくれること。それがお客様の安心につながります。
入社当時、富山に言われていたことが「あなたはまだ若いし、何かを提供することができない分、しっかりとお客様のことを知るために教えてもらいなさい。ただし、本当にそのお客様のことが知りたいと思って聞きなさい。お客様は、自分のことを知りたいと思っている人に自分の話をすることは嬉しいことだから。そうした気持ちは必ず伝わるから。知っていることでも知らないことでもちゃんと質問して聞いてみると、違う答えが返ってくるかもしれないし新たなことに気づくことができるかもしれないから」と。お客様をどれだけ良くしたいと思えるかが、契約を取れるかどうかやお客様の行動を変えられるかどうかの一番のポイントだと思います。そうでなければ、当時23,4歳の私がMAS監査の契約を結ぶことは出来ていなかったと思います。

自社MAS(自社で行うMAS監査)の内容を教えてください。

お客様に提供することと全く同じことを行っています。まず、MAPシステム(以下MAP)を使って単年度の数値計画と行動計画を立てます。次に、自社の試算表を基に予算と実績のズレを確認します。数値のズレに加え、売上に対するアクションの過不足がなかったかを検証します。さらに社内で起こっている諸問題についてパートの方も含めて全員でディスカッションを行っています。そういった積み重ねにより、私が入社する前からあったMAS監査事業の売上目標1億円を3年前に達成することができました。決めたらやらないといけないから大変にはなります。しかし、MAS監査担当者になるのであれば、やはり営業は経験したほうがいいと思います。売上目標を達成する苦しみは、経験してみないとわからないものです。自社MASは「自分たちで自分たちの会社を良くするためのビジョンを描いてそれを社員の方と共有し一致団結して、一生懸命やるものです。やると決めたことを自分たちでしっかりやり、ちゃんと皆でフィードバックして成果を上げて、数字的にも風通し的にもいい会社にして、どんどん成長していきましょう」という話なので、営業を含め自社MASの実践からは逃れられる人間はいないと思います。基礎的な当たり前の部分だからこそ、全員がやらないといけないし、担当者であれば同じような会議支援を経験してお客様がどのように感じるか知るべきだと思います。自分たちも行い、また、いろいろな会社の会議支援を経験することにより、また別の会社へ事例を紹介できます。100社あれば100社分の会議の経験をお客様に活かすことができます。心に刺さる言葉も人によって違うため、MAS監査をより多く行うと、いろいろな人の気持ちがわかるようになるので、より良いサービスを提供できるようになります。自社MASを行うことがお客様の改善に役立ち、お客様にMAS監査を提供して得た経験が今度は自社MASに活きていきます。だからMAS監査の実践と自社MASはセットで必要だと思います。

株式会社クイック・ワーカー様の今後の展望をお聞かせください。

私はMAS監査が当たり前に世の中で実践されるべきだと思います。町の小さなパン屋さん、個人事業主、老舗企業など、業種・業態を問わず経営計画を立てPDCAサイクルを回すことで、気づきを得て変わっていくことがあります。私たちがMAS監査を行うことで、業績が上がり、経営者や社員の方々に幸せになってもらえたら、嬉しいなと思います。それが私の気持ちであり、会社の気持ちでもあります。同じように他の会計事務所の方々が顧問先にMAS監査を広めていっていただけると、日本全体の景気を良くする手助けになるのではないかと思います。

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